大峯・奥駈道(一部)山行記録


文責/撮影

頓知亭


行 程
2005/11/某日
一日目
12:30 前鬼口バス停
13:38 雨のため雨具に着替える
13:55 不動ノ湯
15:20 小仲坊(前鬼宿坊)テント泊

二日目
08:00 小仲坊
09:30 二つ岩
10:37 太古の辻
11:20 深仙の宿
12:45 釈迦岳
14:40 孔雀岳
15:11 烏のカクシ水
16:42 楊子の宿泊

3日目
06:51 楊子の宿
08:16 七面山東峰
08:45 西峰
あけぼの平に向かうが引き返す
09:10 西峰
09:28 楊子の森
13:51 明星ガ岳分岐
14:11 八剣山
14:41 弥山小屋
15:50 狼平テント泊
 大峯に七面山という険しい山があるという、一面は露岩の壁で一面は緑に覆われている。そして緑に覆われたなかに某平という草原があるという。ぼくは山中に突然現れるこうした景観が好きだ。前鬼から弥山へと縦走するついでにそこをこの目で見たいと思った。

一日目(曇→雨)
12:30 前鬼口バス停
13:38 雨のため雨具に着替える
13:55 不動ノ湯
15:20 小仲坊(前鬼宿坊)テント泊

 大和上市よりバスに乗る。先月の和佐又〜大普賢岳の山行の時と同じバスだから慣れたものだ。最初乗客は登山客だけでも10人程度いて自分を入れて半分程度がテント装備風だったので全員前鬼だったら幕営地の取り合いになるかもと思ったがほとんどが途中で下車。最終的には私と3人組パーティのみが前鬼口におりたった。3人組はタクシーを仕立ててあったらしく車の乗ってあっという間に去っていった。前鬼の宿坊まで歩くのは私だけであった。
 途中雨に降られたりするがそれでも紅葉は美しく、雨の中のテント設営に気は重い。倒木、崩壊地が多く見られ去年の台風の被害かと思われた。歩いている間にクルマがかなり多く行き交っており、宿坊は混んでいるのかと不安にさせられたが着いてみたら宿坊は無人で施設には施錠されていた。幕営料をトイレの料金箱に投入し、公衆電話があったので自宅に連絡を入れ、フライを張るのが面倒だったので軒下を借りそこに幕営した。公衆電話内に熊についての注意をうながすパンフレットがあり、夜間の動物の鳴き声は鹿であると知りつつもかなりびくびくしながら喫食する。真空パックの肉を持ち込んで豪華にしてみたが一人では片づけが面倒なだけで少しも旨くなかった。いつものインスタントで十分だと後悔する。18:20のテント内温度は15度。ほどなく就寝する。

二日目(快晴)
08:00 小仲坊
09:30 二つ岩
10:37 太古の辻
11:20 深仙の宿
12:45 釈迦岳
14:40 孔雀岳
15:11 烏のカクシ水
16:42 楊子の宿泊

 いつもの通り寝坊する(2度寝してしまった)。起きてみるとマットに小さな丸い物体がくっついている。山ヒルだった。もしかすると昨夜は僕自身より夕餉を得ていたのだろうか。別段出血箇所はない。予定より30分遅れで出発。朝は体内の水分が減少しているのと少しでも歩行中の渇きを軽減するため1Lほど宿坊で水を飲み、携行する水も満載の2.5Lとした。雨は上がり雲も去りつつあり、出発前の「この4日間は曇りと雨だけ」という残念な天気予報は嬉しくも外れつつあるようだった。今日はのっけから急登で食糧はほとんど減っていない上、水を満載したザックは多分今まで背負った中で一番の重量だった。昨日の雨の割には登山道は乾いていたが倒木や木の根っこ、ぬめる岩などにはやはり気を遣う。キン担ぎの急登は25000地形図では尾根沿いのコースだが木の階段が整備された実際のコースは東側の斜面、谷に道筋をとっていて辛くはあったが登りやすかった。木の階段の施工精度が高く、ほとんどがかなり正しく水平だったので助かった(後で知ったのだがこの木の階段にはその存在について是々非々の議論があるそうだ)。
 深仙の宿ではお堂の整備に来られているらしいおじさんと出会った。水場を教えていただき補給する。香精水。枯葉が浮いていたり小さな羽虫が死んでいたりするが、もう気にしないことにする。飲んでみると無味無臭であった。
 釈迦ガ岳では3人組のパーティと遭遇し、今晩の宿泊地を楊子宿(避難小屋)にするよう強く勧められる。行く先々でも勧められるので野営はやめることにする。偉大な一人の強力によって運ばれたという山頂の釈迦像は立派なものだった。
 太古の辻以降は25000の地形図ではほぼ稜線を忠実にトレースしていて、(地図上の境界線を避けるため稜線の西隣に引かれてはいるが)尾根上を歩くのかと思っていたが実際には尾根、小ピーク、ピークを東西にトラバースする道が殆どで面くらう。
 景色は紅葉も相俟って素晴らしく昨日は雨で入山したことを後悔していたが今日は現実離れした景色に脳みそが溶け出してしまいそうだった。残してきた仕事のことはもう完全に忘れてしまった。
 楊子宿では3人組のパーティと同宿させていただいたが私は避難小屋、営業小屋含めて小屋利用が今回初めてだったので何か失礼がなかったかと未だに心配である。屋根がある上、知らぬ方々とはいえ、一人ではなかったのでゆっくり休むことが出来た。

三日目(快晴)
06:51 楊子の宿
08:16 七面山東峰
08:45 西峰
あけぼの平に向かうが引き返す
09:10 西峰
09:28 楊子の森
13:51 明星ガ岳分岐
14:11 八剣山
14:41 弥山小屋
15:50 狼平テント泊

 今日は殆ど寝坊せずに起床できた。同宿のパーティの方々は多分夜明けと同時に出発された。私は遅れること約1時間で出発する。そもそも今回の山行を思い立ったのは七面山の西面にあるあけぼの平に興味を持ったからだ。アプローチの尾根道は踏み跡も七割方はなく、親切なテープと地形図・磁石を頼りに神秘的な人気の少ない山歩きを満喫できた。予定では何とかなるはずだったが、引き返す時間になってもやっと行程の半分くらいで、水も不足気味だったので仕方なく諦めることにした。意気消沈した僕は足取りも重くなり朝餉で使った分の水を補充せずに出発してしまったのを後悔しながらずっと渇きに苦しめられた。行動食をとる気力も滅し、だんだん意識がぼうっとなっていくが巻き道は崩壊しかかっていたり朝露に濡れて滑りやすかったりでかなり苦しめられた。急な斜面に作られたトラバース道では足をちょっと滑らせるだけでも大事となりうるので気が抜けない。素晴らしくも渋い大峯の景色だが僕の心にそれを感じる余裕は徐々になくなり晴天で日陰の得られないことを恨んですらいたのだった。巻き道が稜線の東側に入り太陽が遮られたときの風の涼やかさがありがたかった。
 八剣山、弥山のピークは本当にきつく、近畿最高峰の八剣山の山頂を景色を愉しむ余裕はこれまたなかった。弥山小屋にて幕営を申し込んだところなぜか「狼平なら無料だし、水場は近いし景色は良いし言うことなし」と強く勧められ(宿泊者が多かったのかも知れない)、消耗しきった体で狼平になんとかたどり着いた。その途上で得られた沢水はえもいわれぬ甘露水の味だった。
 18:48のテント内温度は8度。天気予報を聞きながら就寝。

四日目(雨)
05:30 起床
08:00 出発
08:24 高崎横手
10:20 栃尾辻
12:51 坪内

 昨晩の天気予報では昼前頃の雨となっていたが6時頃には降り出し始めた。こんなことならもっと早くテントを片づけるべきだったとぼやきながら撤収し、雨具を着け出発する。今日は行程の殆どが下りだが、昨日までの山行でつま先が痛くザックは軽いものの下山にはこたえた。途中で西洋人らしい男性に追い抜かれる。こっちは上下の雨具にスパッツというフル装備なのに対し、彼はなぜか短パンにロングスパッツという私には奇妙な出で立ちであった。
 下山後は天の川温泉にてさっぱりした。来るはずのバスがなぜか来なくて天川川合まで車道をさらに4キロ歩く羽目になってしまった。バスの中では京都は伏見から来られたという(私から見れば)高齢の登山パーティと一緒になり比良山系の話や学生時代住んでいた京都市内の話題で楽しいひとときを過ごすことが出来た。


今回の反省
水はしっかり補充すべきである。
それからあけぼの平には今回の逆コースなどでいつかは到達したい。
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