弥山〜和佐又山行記録


文責/撮影

頓知亭


行 程
2007/05/某日
一日目
09:30 天川川合バス停
12:27 栃尾辻
14:30 狼平
15:55 弥山幕営指定地

二日目
03:30 起床
06:00 出発
07:08 聖宝の宿跡
07:54 弁天の森
08:18 奥駈出合
09:07 一のタワ
10:20 天川辻
10:45 行者還小屋
12:19 奥駈道と和佐又分岐
14:34 無双洞
17:07 和佐又ヒュッテ

3日目
04:00 起床
07:05 出発
08:07 和佐又口のトイレ
 彼らは今年の夏も北アルプスに登ることに決めていた。
 同行者と話し合って昨年とは別のコースから槍まで歩いてみることに決心したのだった。同行者は去年と違うは人物でこの山域を歩くのは初めてだ。決まってしまったからにはやるしかない。少なくとも必要なことはやっておこう。夏までにはまだ時間がある。楽しめて、それでいて夏へ向けての自身への糧となるような、そんな山行を彼らは計画した。

一日目(晴天)
09:30 天川川合バス停
12:27 栃尾辻
14:30 狼平
15:55 弥山幕営指定地

 早朝の天王寺駅にて集合し、列車上の人となる。車内は登山者風も多い。上市のバス乗り場では臨時バスが増発され警官が登山届けを提出するよう呼びかけている。届けを提出するとなぜか景品が貰えるのだが去年は電池の「付属していない」懐中電灯という大変嵩張る上山行中は何の役にも立つことのない代物だったので内心閉口したのだが、今年は小さな非常用の笛だった。やはり昨年のは不評だったのだろう。今回は2泊の予定だが夏の山行を想定して彼らの荷物は少し重めにしてあったので彼は喜んで受け取った。
さて、彼らはバスに乗り換え天川川合に降り立つ。いつものように案内所のベンチにて装備を調え9:30に出発する。三叉路を右にとり吊り橋を渡る。ここからの植林帯の登りは植林の密度が高くいつも薄暗い。
 途中作業道に入り込んだりしつつ、林道工事を横目に見送り分岐に入って小石のゴロゴロした道を通り14:30に狼平に達する。時計を見る。やはりというべきか、いささか時間がかかってしまった。彼らは、ここで以前にも見かけたことのある、この辺りをフィールドワークの対象としている、学究の青年が今日もやはりここでくつろいでいるのを発見する。清涼な川の眺めを見ながら小休止とする。たいていは入山、ないしは山行の成功を祝う宴会の準備に余念のないパーティがいる避難小屋は不思議なことに空っぽだった。狼平からは長大な木製の階段がつづく。幸い天気は良く、滑って転ぶ心配はなかったもののザックの重さが脂肪を鎧った身に堪える。計画の時間より遅れていることを自覚しつつもここはペースを乱さず行くしかない。
 多くの登山者を追い抜き、追い抜かれながら、徐々に高度を上げ、展望を満喫しつつ、幕営地に空きがあるのか心の片隅で心配しながら彼らは歩を進める。弥山小屋はなかなかに遠い。
 そして計画より一時間遅れて15:55に到着となった。日没まで二時間から三時間といったところだった。満足することは出来ないが、なんとか安全マージン範囲内だろうと同行者とお互いをねぎらい合う。幕営地はやはり混雑しはじめていたので同行者にテントの設営を担当してもらい彼は小屋番のところに走ることにした。小屋宿泊希望者も多いらしく幕営の手続きをして水を買うのに15分くらいかかってしまった。テントの設営を済ませ、しばし夕日に見とれる。すでにいびきの聞こえてくるテントがあるのが驚きだ。夕食も日没までにすませることができ21時には就寝することが出来た。
思ったより寒かったが地面が平らでよく眠ることができた。

二日目(晴天)
03:30 起床
06:00 出発
07:08 聖宝の宿跡
07:54 弁天の森
08:18 奥駈出合
09:07 一のタワ
10:20 天川辻
10:45 行者還小屋
12:19 奥駈道と和佐又分岐
14:34 無双洞
17:07 和佐又ヒュッテ

 予定通り3:30に起床する。気温七度。朝食を簡単に済ませ、6時に出発する。計画から30分ほど遅れてしまったが天候も体調も良い。これなら十分行けるだろう。三分の二ほどのテントはまだ寝息が聞こえていて、残りには明かりが灯されていた。この様子ならしばらくは人気のない登山道を愉しむことができそうだ。弥山からの下りは堪えたがそのあとの聖宝の宿跡(7:08)あたりからはアップダウンの少ない稜線歩きだ。大峰らしい風光を愛でながら今後のことを考えて幕営適地がないか下見しつつ明るい自然林を進む。彼はこういう道が好きなのだった。自分たちが出発することにはまだ高いびきだったに違いないテント泊の何組かに追い抜かれてしまう。まだまだ精進の足りないことを痛感する。行者還りの駐車場からの登山者が多く驚かされた。100人単位ですれ違ったのではないだろうか。彼らは10:45に行者還避難小屋に到着し大休止をとった。ここから七曜岳と和佐又への分岐点までの鎖場などの少し難しいところでは、大げさかもしれないが大事をとって一人づつ通過することにした。分岐点手前で大分前に追い抜かされた単独の男性が戻ってくるのとすれ違う。とっくに和佐又に行ったものと思っていたと言われていささか落ち込むが仕方がない。実際計画より遅れてしまっているが天候も申し分ない。和佐又と七曜岳の分岐点には12:19に着く。遅れはあるが日没には十分の余裕がある。
 和佐又までの道は彼らにはやはり難しく何本もの鎖を伝う場所や梯子、滑りやすい場所などが続き、彼には悪場のトレーニング施設かとも思われた。安全を期してやはり一人ずつ通過することにした。かなり時間と神経を消耗して最後には誰にもすれ違うことも追い抜かされることもなくなり、最初に出発したのに最後になっちゃったね、などと語り合いながら17:07にヒュッテに到着した。上の幕営地はオートキャンパーでいっぱいだったが下の芝生には十分な場所があり、快適な場所を占めることができた。また弥山で一緒だった女性と言葉を交わしたりした(出発時の先行分を考えると2時間は優に先行されたようだった)。今はまだまだでも数年もしたらだいぶ強くなれるに違いないと数年前の自分を思い出しながら彼は思った。明日は舗装路を使っての下山であるから車にさえ気を付ければ良い一時間ほどの気楽な歩きだ。小屋でカップ麺を求め、カレーライスを作り、少し多めに酒を飲み就寝した。

三日目(晴天)
04:00 起床
07:05 出発
08:07 和佐又口のトイレ

 彼らは4時に起床した。この日は和佐又口バス停までの車道歩きでの下山なのだからこんなに早起きする必要もないのだが夏期山行を想定して寝坊は30分だけとした。彼らはゆっくりと朝食をとりテントを干してしまう。撤収を7時に完了し、出発する。同行者は和佐又ヒュッテに来たのは初めてだったが彼はこれで3度目だったか。あれやこれやの山行を思い出したり同行者と今回の山行について感想を話し合いながら一時間ほどでバス亭に着いたのだった。最初は数人のバス待ちだったのにバスが来ることには2台に分乗しなければならないほどの人数となった。ヒュッテの宿泊者はそれほどにも思えず彼らは首を傾げるよりなかった。

今回の反省
難しい場所に時間がかかりすぎている。
二日目は起床は時間通りだったのに出発が少し遅れてしまったのが残念。
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